クズの遠吠え カレー沢薫

意識過剰が行きすぎたとき、
人は無視をするのだと
教えてくれるのが【早慶型クズ】

あの ハア?知らねェー! これで勝ったと思っている

もったいぶったところで出てくるのはもれなくクズなので、早速今回のクズに出て来てもらおう。

【早慶型クズ】
東大でもないくせに学歴自慢してくる早慶野郎のごとく、決してその分野で1番ではないのに何かと自慢してくるクズ。

まず早慶の方に死ぬほど失礼なのだが、あくまで例えと思ってご容赦いただきたい。あと元担当が考えたことである。
そもそも早慶だって、並み大抵では入れないだろう。早慶がクズだったら、私などは、有害な上に処理に金がいる産廃になってしまう。

このように、私のような最終学歴小3二学期、みたいな学力の人間からすると、東大も早慶もスゲー、みたいな雑な感覚なのだが、当の本人たちからするとそうもいかないらしく、有名大学を出ながらも「東大には入れなかった」ことがコンプレックスとなり、東大出身者を見ると「東大のくせにこんなことも出来ないのか」と逐一逆差別をかましてしまう人は確かに存在するらしい。

つまり、生まれながらのバカにとっては、東大も早慶も、お母さんから見たジャンプ、サンデー、マガジンぐらい同じだが、「頭良いフィールド」の人からすると大きな違いであり、一緒にされたりすると、腐女子と夢女を混同された女オタクが如く怒りだすことがあるかもしれないのだ。

このように、嫉妬心とは、自分と同フィールドの者に対して起りやすい。
逆に私のような、バカ田大学裏口入学みたいな人間が東大卒の人間を目の前にしたところで、あまりにも存在が遠すぎて嫉妬心など起こらず神秘を見たかのように「すげえ~」と素直に感嘆してしまう。
それが「年が近い」「性別が同じ」「母ちゃんが同じカーブスに通ってる」など、共通項が増えるにつれ、意識し、妬みなども生まれる。逆に言うとバカ田大学は東大を意識していないのだ。
私で言うと、芸能人なんかには全く嫉妬が起きない。人生で一度たりとも、歌や芝居、まして顔で勝負しようと思ったことがないからだ。
しかし、漫画家など同業者への嫉妬心は強い。あまりの憎悪に何を読んでもまず粗さがしをしてしまい、ちっとも漫画を読むのがおもしろくねえので、漫画自体すっかり読まなくなったほどだ。
元々漫画を読むのが好きで漫画家になったはずなのに、THE悲しきモンスターの人生だ。
このように自分の好きな分野、もしくは子供のころちやほやされた分野で徐々に一番が取れなくなると、それ自体を憎むか、一番の奴ディスをするようになってしまうので、そういう意味でも「好きなことを仕事にする」ことには一考の余地がある。

そんな、昔は一番だった世界で一番になれなくなったのが「早慶型クズ」なのだが、そのクズり方にもいろいろある。

まずわかりやすいのが、前述の通り、一番ディスだ。
東大のことは全く知らないが、とりあえず「門が赤すぎる」など、なんでもいいからケチをつけて「実は大したことない」ことにしてしまうのである。

また「実質」での勝負もしかけてくる。
例えば、数字の上では東大の方が上かもしれないが、東大生は社会に出てから役に立たないことが多い、つまり「実質早慶の方が上」などとしてしまうのだ。
もちろんこれは「三万使ったが推しが出たので実質無課金」と同じ理論である。

また、ナンバーワンになれない、とわかった途端、オンリーワンを推す、世界で一つだけの花作戦もある。
トップを獲ることから「誰もやったことがないことを成し遂げたい」と、余計ボンヤリしたことを言い始めるのだ。
他にも「わかってる奴はこっちなんだ」論も使える「今のご時世東大に行く奴は情弱」と「あえてのこっち」感を出すのである。

そしてそれでもダメなら最後の手段「知らねえ~」を出す。
私で言うなら「ワンピースおもしろいよね」「進撃の巨人すげえよな」と言われた時に「何それ知らねえ~」と返す技である。

「誰それ」「知らない」「興味ない」は負け惜しみ界のリーサルウエポンである。
「そもそも俺様はそんなもの知らないし興味もないから、つまり戦ってもいない、よって俺の不戦勝」という理論だ。
また「俺様が知らない時点で大したことない」という事にもできる。

よってホンモノの早慶型クズは「東大などこの世に存在しない」か「東南アジア大学ですか?」みたいな振る舞いをしていると思う。

人は何かを意識しすぎると「逆に無視」と言う行動を取ってしまうが、大体他人から見ると「めっちゃ横目で見てる」ことがばれているものである。